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農業共済新聞

兄弟で築く 理想の畜産

【2023年9月4週号】霧島市福山町で繁殖牛115頭、子牛80頭を飼育している長濱昂平さん(30)、健人さん(24)兄弟。祖父・和美さん(90)の代から続く牛飼いの後継ぎとして、家族と共に規模拡大に取り組んでいる。家族経営ならではの団結力で分娩(ぶんべん)に伴う事故と子牛の事故ゼロを目指し日々汗を流している。

 日ごろから作業は家族で分担して取り組み、昂平さんと健人さんは繁殖牛の管理を主に担当する。「大まかな役割分担はありますが、自分が担当する作業以外の進捗(しんちょく)状況にも気を配ることで、自然とフォローしあえています」と健人さん。持ち前のチームワークと団結力で、祖父の代では20頭だった繁殖牛も今では115頭まで増えた。
 

▲作業は兄弟で協力して分担する

 

分娩・子牛事故ゼロへ 「常に牛を見る」を徹底

 「常に牛を見ること」を一番大切にしている長濱さん兄弟。頭数の増加に伴い、牛の観察の大切さを改めて痛感したという。「人の目が行き届きにくい分、牛舎は清潔に保ち、病気の予防に努めています。また、カメラを活用した観察で、分娩や病気などの異変を早期に発見できるようにしています」と見守りを徹底する。
 また、「出産経験が浅い母牛に対しては種牛の体の大きさも考慮し、慎重に種付けをすることで未然に事故を防いでいます」と昂平さんは説明する。こうした積み重ねの結果、昨年は15件あった分娩・子牛の事故が約8割減の4件まで減少した。

 
 

▲「家族で助け合っています」と昂平さん(左)

 

努力が結果に直結

 昂平さんは「手をかけて世話をした分、結果につながることです。最近では、全国和牛能力共進会県予選で最終候補まで残ることができ、セリ市でも高値で購入していただけました」と話す。続けて、健人さんは「病気をすることなく元気な状態でセリ市まで行ってくれたときは、頑張って良かったと思います」と言う。 

 
 JAあいらの酒匂翔吾さんは「2人とも協力して全国和牛能力共進会に向けて長期にわたり水洗い、調教などを頑張っています。また、育成にも非常に力を入れ、セリ市でも高評価です」と称する。 
 現在、セリ価格の下落や飼料の高騰など厳しい状況が続くが、長濱さん兄弟は「将来的には繁殖牛を150頭まで増頭すること、分娩・子牛事故ゼロを目標に力を合わせて頑張っていきたい」と共に前進していく。
 

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