基腐病 対策に蒸熱処理装置
【2022年5月3週号】近年、九州・沖縄地方を中心に猛威を振るうサツマイモ基腐病。南種子町さつまいも生産対策協議会(羽生幸一会長)では、対策の一助に、基腐病用蒸熱処理装置を導入した。貯蔵前に種芋を同装置で処理することで、貯蔵期間中の発病リスクが軽減できると期待されている。
サツマイモ基腐病とは、糸状菌がサツマイモに寄主することで発症するというもの。感染すると、葉や茎は生育不良で変色し、罹病株は腐敗してしまう(左:罹病株イメージ)。南種子町内のサツマイモ農家も基腐病のまん延で単収の低下に悩まされている。
貯蔵時の発病リスク軽減へ
農林水産省は2021年、基腐病に対する蒸熱処理の有効性を公表した。発病した種芋に47~48度、湿度95%以上で3時間ほど処理したところ、菌は発生せず、サツマイモは萌芽したという。
このことから同協議会では装置を導入。今年9月ごろから本格的な運用を予定している。同町役場に申請すれば、誰でも利用可能だ(22年5月末時点)。 同町役場の松原大輔農業振興係長(43)は「蒸熱処理装置を活用し、健全な苗の確保に努めて、苗・苗床の消毒、被害圃場の土壌消毒、排水の改善など対策をしてもらい、次年度以降の単収を上げてもらいたい」と話す。
(写真:蒸熱処理装置について説明する様子)
南種子町キビ甘藷振興会の日高健次郎会長(70)は「基腐病には大変困っていました。蒸熱処理装置を活用し、少しでも単収の増加につなげたい」と期待する。