カボチャの省力化栽培技術 地域の収益向上に期待
【2025年新年号】曽於市大隅町の岩永遼祐さん(26)は、父が経営する株式会社岩永農園で、サツマイモを主体に多品目の野菜(露地62.9㌶、施設園芸20㌃)を生産している。加工・業務用カボチャの栽培体系を見直し、省力化と収量向上を実現させた取り組みは、地域農業の新たな収益源として期待されている。
契約先の要望を受け、2020年に加工・業務用カボチャの栽培を開始した。「収穫時期が重ならず、収益の安定化につながる利点があった」と岩永さん。しかし、1作目は30㌃の栽培にサツマイモ(10㌃当たり35時間)の3倍以上の労働時間を要しながらも、収量は10㌃当たり571㌔にとどまり、採算性に課題が残った。
そこで県の普及機関や試験研究機関と連携し、労働時間や資材費、収益のバランスを検証しながら、栽培体系を見直した。試験栽培では作業性や収量を比較し、6品種の中から「ケント」を選定。また、セルトレー育苗や定植作業の機械化、ドローンによる農薬散布など、既存設備を活用した省力化技術を導入した。さらに、生分解性マルチを使用することで後処理の手間を省き、整枝・誘引作業の簡略化も進めた。「資材費は増えたが、省力化効果が上回り収益が向上した」と手応えを話す。
機械化など作業を効率化/労力減らし反収2㌧超え
23年には労働時間を1作目の4分の1以下(10㌃当たり25時間)に抑えながら、10㌃当たり2021㌔にまで引き上げた。24年には栽培面積を1.5㌶に拡大し収益基盤の強化を進めている。
曽於畑地かんがい農業推進センター農業普及課は「効率的な栽培体系を構築した先進的な事例。他の生産者にとっても参考になる取り組み」と期待を寄せる。
岩永さんは「次の目標は10㌃当たり3㌧の収量を達成すること。技術を共有し、カボチャ栽培が地域農業の収益を支える柱となれば」と先を見据える。