人との関わり大切に
【2024年8月4週号】「人とのかかわりを大切にしながら農業に取り組んでいますよ」と話すのは、錦江町馬場でパッションフルーツ3㌃を栽培する菖蒲伸也さん(46)。規格外品で出荷できないパッションフルーツをスイーツの原料として活用するなど、販路の拡大に励んでいる。
会社勤めをしながら、両親が営む農業の手伝いをしていた菖蒲さん。手間をかけて育てた後に収穫する喜びに魅力を感じていた。両親のもとで就農したいと一念発起。会社を退職し、就農に向けて準備を進めていたところ、就農2カ月前の2022年8月に父が亡くなったため、経営を引き継ぐ形で就農した。
就農当初、ジャガイモを中心に経営をしていたが、長雨の影響で疫病が発生し、収量が上がらずに厳しい経営を強いられていた。安定した収入を得るためにも何か工夫しなければと考えていた際、知り合いの農家からパッションフルーツを紹介された。暑さに強く、単収が高いことに加え、地域であまり作付けされていない珍しさも決め手となり23年に栽培を開始した。
先輩農家に支えられ技術を習得/地元菓子店と連携しスイーツも
仕立て、切り返し、人工授粉など収穫までに多くの作業が必要となるが、先輩農家に教わりながら丁寧に仕事に取り組んでいる。「別の作物の収穫時期と重なると大変ですが、収穫の喜びとやりがいはより大きくなりますよ」と笑顔で話す。
収穫したパッションフルーツは、管内のJAに出荷するが、傷や日焼けなどが理由で出荷ができない規格外品も発生する。うまく利用できないかと考え、地元の洋菓子店と連携し、スイーツの原料として使用。ピューレ状に加工し、ギモーヴやパンナコッタなどに商品化され、売れ行きも好調だという。
鹿屋市川東町のRio-Leste代表・出水尚志さん(40)は、「仕事にストイックに向き合う菖蒲さんが育てた、品質の高いパッションフルーツを有効活用することができてうれしい。お客さんも喜んでくれているのでこれからも一緒においしい商品作りを手がけていきたい」と期待を込める。
菖蒲さんは「これからも人との出会いを大切に、パッションフルーツを少しでも多くの人に知ってもらいたい。おいしいものを作れるように努力していきます」と抱負を話す。
▽その他の経営規模=インゲン25㌃、スナップエンドウ20㌃、ジャガイモ120㌃、ゴーヤー10㌃