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農業共済新聞

土づくりを軸に 良品安定生産

【2023年2月3週号】 農業を約40年続け、2022年6月に法人化を果たした株式会社スエカワFarm(和泊町、代表・末川哲也さん=64歳)。家族でスプレーギク270㌃の栽培に取り組む。農業の基本となる土作りに力を入れ、土壌改良や鉄骨平張施設の導入などで安定生産を実現。技術普及にも精力的に取り組むなど、花き経営の発展に力を尽くす。


▲「働きやすい環境づくりを目指し、家族経営協定を結びました。従業員の作業対策等にも配慮しています」と末川さん

 
 沖永良部地域は、台風の常習地帯でハウス被害が多く、花き栽培では品質にばらつきが発生し、安定的な生産が難しかった。しかし、近年は部会での講習会や検査体制の強化でスプレーギクの品質が特に高く評価されるようになり、地域の平均生産量は10㌃当たり3万5千本まで伸びた。
 

 

優良経営体表彰で経営局長章を受賞

 中でも、スエカワFarmは10㌃当たり4万4千本と地域平均を大きく上回る。「基本は土作り。毎年土壌診断を行い、施肥設計を見直しています」と適切な施肥管理を心がける。施肥には、完熟堆肥などを使用。「資材は購入に頼っている状況だが、急激な肥料価格高騰から完熟堆肥を自社で作ることを検討している」と現状を分析し、挑戦する姿勢を忘れない。
 台風で被害を受けにくい鉄骨平張施設を導入し、スプレーギクの周年出荷を可能とするなど、生産量向上につなげている。基本に忠実に努力を重ね、高い収益性を実現し、22年に法人化した。

   
 これらの取り組みが評価され、同年に全国優良経営体表彰経営改善部門で経営局長賞を受賞した。また末川さんは、沖永良部地域の花き生産にも大きく貢献。JAや農家と連携し栽培技術や品質改良に積極的に取り組み、地域に技術を普及、定着させるなど、花き経営の安定化を図った。

 

▲毎年土壌診断で施肥設計を見直し、スプレーギクの反収量は4万4千本

 

後進の育成に尽力

 指導営農士として若手農家や新規就農者への助言や指導、研修の受け入れも行う末川さん。「島の農業を発展させるためには若手農家の力が必要。そのために指導に力を入れている」と地域の花き生産への思いを話す。今後は後継者育成を視野に歩みを進める。
 
▽そのほかの経営規模=ジャガイモ110㌃、サトウキビ70㌃、ニンニク10㌃

 

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