志布志の農業 盛り上げたい
【2022年4月3週号】志布志市有明町でホウレンソウを栽培する曽原正樹さん(46)。生産者の思いや工夫が詰まった商品の魅力を伝えようと、地域農産物をPRするウェブサイトを立ち上げた。地域農業に新しい価値を生み出し、収益性の向上につなげようと奮闘する。
異業種から転身 有機堆肥でホウレンソウ
曽原さんはもともと、スポーツ量販店で働いていたが、農業における高齢化や後継者問題を知り、課題解決に貢献できないかと考えていた。「簡単ではないが、アイデア次第でおもしろくなる分野だと思った」と、研修や準備期間を経て2018年に就農した。
経営するそはら農園ではハウス52㌃でホウレンソウを年6作から7作栽培する。食の安全や安心を意識する曽原さん。自家製有機堆肥を使用するほか、土壌を蒸気消毒し、病害虫や雑草を抑制して、化学肥料や農薬の使用を抑えている。
「作ったものを誰に届けるか明確にしたい。野菜本来の力を引き出すように心掛け、化学物質が苦手な方でも、野菜が嫌いな子どもでも安心して食べられる」と自信をのぞかせる。
ウェブで地域PR 思いや現場の苦労伝える
生産に取り組む中で、陳列されると値段だけが比較対象になりやすいことに着目。「たくさんの工夫や思いが、商品価値として伝わっていないのはもったいないと思った」と話す。値段以外に比較できるものを消費者に提示しようと、昨年、地域の農産物をPRするウェブサイト「志布志湾プレミアム」の運営を開始した。
生産者の取り組みの紹介のほか、商品も販売。育てて出荷するまでの過程をありのまま伝えることで差別化を図り、地域の農業に新しい価値を生み出し、収益性の向上につなげていく考えだ。
「生産者の思いや工夫が詰まった商品を適正な価格で販売したい。前職の販売経験やノウハウを仲間と共有して、所得に反映する仕組みを作っていきたい」と話す。
今後について「経営を安定させ、安心して食べられるホウレンソウ作りを追求していく。情報発信にも力を入れ、志布志の農業を盛り上げていけたら」と意気込む。
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