堅実な経営へ できること着々
【2022年3月3週号】安納芋130㌃、オクラ30㌃、インゲン50㌃、スナップエンドウ30㌃を作付ける西之表市現和の西川幸一さん(60)サツマイモ基腐病で安納芋の収入が激減する中、出荷前に芋の品質を手作業で丁寧に確認することで市場の信頼を獲得。また、経営の安定を図るためスナップエンドウの端境期出荷にも取り組み始めた。
安納芋 基腐病対策出荷前確認を徹底
西川さんはおいしい安納芋を作るため栽培管理を徹底している。作付けの際は、効率よく光合成ができるように畝と畝の幅を通常より広く取り、葉が重なり合わないようにしている。しかし、今年はサツマイモ基腐病の影響で、安納芋の収量が例年の3分の1しかなく、収入も激減した。
基腐病の発生は年々増加しているため、出荷時の管理には細心の注意を払う。収穫後2週間から1カ月ほど寝かせ、出荷前は泥の汚れを一個ずつコンプレッサーで落とし、基腐病が発生していないかを確認する。(写真:コンプレッサーで汚れを落とす様子)
「収穫してすぐに出荷してしまうと、基腐病に気付かないことがある。せっかく出荷しても、市場についた時に芋が腐って商品価値がなくなり、市場の方にも迷惑がかかる。安納芋を楽しみに待っているお客さんがいるので、この作業を大切にしている」と話す西川さん。基腐病の心配のない安納芋を届けるため手間を惜しまない。
スナップエンドウ 端境期出荷で安定経営
現在、基腐病の影響で収量や収入が激減しているため、対策としてスナップエンドウの定植時期をずらしているという。「早植えをすることで、収量は下がるが単価が上がる」と手応えを実感する。そのほか、インゲンやオクラは市場に出す際は品質や形を一本ずつ確認。曲がっているものがあれば、少しでも真っすぐになるようにするなど、手を加えている。
鹿児島市場の牧元祐樹さんは「西川さんの野菜は品質が良く、A級品が多いため、お客さんから『いつ入荷するのか』と問い合わせがよくある。リピーターが多いのでこれからも継続して出荷してほしい」と評価している。
西川さんは経営安定に向け21年に農業経営収入保険に加入。「安納芋の栽培は継続しながら、新しい品目にも挑戦し、面積を増やしたい。法人化を視野に、できる範囲で雇用を増やせたら」と話してくれた。